行政書士試験の「商法・会社法」は、例年、五肢択一式が5問出題されています。
その内訳は、「商法」が1問、「会社法」が4問です。
商法・会社法の占める割合は、6.7%となります。
商法は、各予備校や各テキストによって、大きく学習の方向性が異なる科目です。
「商法・会社法」は、五肢択一式が5問なので、20点の配点があります。
つまり、300点中20点なので、重要性を問うには絶妙な割合となり、学習の方向性が異なってしまう要因となっています。
私の見解としては、商法・会社法は、一切勉強する必要はないと考えています。
行政書士試験一本に絞って生活されていらっしゃる方であれば、「商法・会社法」の学習に手を出しても良いかと思われます。
しかし、家事や育児、仕事など、多くのタスクをこなしながら行政書士試験学習を続けていらっしゃる方は、「商法・会社法」学習は効率が悪いので手を出さないでください。
「商法・会社法」が学習不要だと考える理由は、3つあります。
行政書士試験 商法・会社法が学習不要な理由
①配点の少なさ
1つ目の理由は、「商法・会社法」は、条文が多いにも関わらず、配点は少ない点にあります。
「商法・会社法」を深追いすると、出題のポイントを絞りづらく得点に繋がらない上に、学習時間だけが必要となってしまいます。
②他の科目に学習が影響しない
2つ目は、他の科目に学習が影響しない点にあります。
例えば、憲法はすべての法知識の基盤となるため、基礎として必ず必要な知識となり、憲法自体の配点が少なくても学習メリットがあります。
しかし、「商法・会社法」は、「商法・会社法」の論点のみの学習になります。
つまり、「商法・会社法」を学習しても、他の科目の土台知識となることはないということです。
「商法・会社法」は、簡単に言えば、商売に関するの法律です。
法理論というよりも、商売はこのように行いましょうという規定です。
つまり、「商法・会社法」を十分に学習しても、行政書士試験の他の科目に良い影響は与えることは少なく、学習することのメリットがデメリットを上回るとは考えづらいです。
③労力=配点に繋がりづらい
3つ目は、労力に対して得点がついてこないという点です。
「商法・会社法」は5問出題され、選択肢は5肢あります。
つまり、適当に選択しても20%正解することができます。
そのため、全く学習していなくても、5問中1問は計算上は正解を導き出せるのです。
単純な確率論なので、もちろん、正解が0問かもしれません。
しかし、逆に「商法・会社法」を重点的に学習したとします。
それでも5問中5問正解することは至難の技です。
前述の通り、「商法・会社法」の条文は多く、すべてを網羅することは時間的に現実的でありません。
例えば、「商法・会社法」で、3~4問正解できたとします。
勘で答えを出しても1問正解だと考えると、8点~12点(3~4問正解)しか差がないのです。
記述(民法と行政法)であれば、10点は、記述1問のうち半分書ければ取れます。
また、記述に出題される民法と行政法を重点的に学習しておけば、記述を正解できるだけでなく、五肢択一式も高い正解率を導くことが可能です。
つまり、時間的にも得点的にも「商法・会社法」に時間をかければかけるほど、合格から遠のいてしまうと言えます。
「商法・会社法」を学習している間に、重要な民法と行政法を忘れてしまう
人間は忘れてしまう生き物です。24時間後には、74%を忘れていると言われています。
行政書士試験は、少なくとも半年、通常1年~3年程度学習をして取得する資格です。
半年前に学習したことは、今日忘れてしまっています。
今日学習したことは、半年後には忘れています。
つまり、行政書士試験に限らず、合格点を目指すのであれば、試験日に最大限の知識で挑めるように準備するということが最も大切です。
そのため、条文が多く学習時間がかかる「商法・会社法」を勉強するのであれば、民法や行政法を復習する時間にしたほうが確実に合格率は上がります。
多くの講師の方は、「商法・会社法」もまんべんなくと学習したほうが良いと仰っている方もいらっしゃいますが、私は、行政書士試験の本質を理解していないのではないかと考えています。
学習時間・他の科目への影響・記憶力のキャパシティーどちらをとっても、「商法・会社法」学習しないメリットのほうがデメリットよりも多くあります。
行政書士試験の合格を目指すのであれば、「商法・会社法」の学習は不要です。
行政書士本番での「商法・会社法」を学習しないメリット
また、「商法・会社法」を学習しないことは、本試験でもメリットがあります。
本試験は3時間と長丁場ですが、じっくりと考え、ミスなくマークして、見直すと3時間は決して長い時間ではありません。
「商法・会社法」を後回しにし、最悪の場合、問題を解かないと決めておくと、時間は確実に余ります。
他の受験生と比べて、5問五肢択一式が少ないわけですから、時間が足りないことはありえないのです。
仮に、時間が足りないとしたら、単純に知識不足なので、しっかりと学習が必要です。
本試験での「商法・会社法」を学習しなかったメリットは、確実に時間が余る、心に余裕を持てるという点にあります。
焦って、ケアレスミスをするくらいなら「商法・会社法」を捨て問にすると決めておくほうが効率が良いのです。
しかし、もちろん本番では、マーク(解答)自体はしてください。
適当にマークをしたとしても、確率では1問は正解できます。
その際、肢1を避けることを頭の中に入れておいてください。
多くの試験に言えることなのですが、5肢ある場合、1肢が正解になる確率は低いです。
試験はすべて人間が作成しています。作成者の心理として、1肢は正解にしづらいのです。
多くの受験生の方は、1肢から順に確認していきます。
そのため、いきなり正解肢を置きたくないという心理が働くのです。
こちらは、統計でも出ていて、行政書士試験は毎年、極端に1肢だけ正解が少ない傾向にあります。
もちろん、年によって異なりますし、出題者もそのような傾向が知られていることを理解して、問題を作成しています。
しかし、上記のような傾向があるということは理解しておいても損はないと思います。
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