民法は、例年、5肢択一式9問(36点)、記述式2問(40点)の出題となっています。
出題のパーセンテージは、全体の約25.3%となり、出題の4分の1を占めています。
そのため、民法は行政書士試験を合格する上で、避けては通れない科目です。
記述に関しましても、出題の3問中2問が民法(1問は行政法)なので、その重要さを理解頂けると思います。
民法の学習の中心は、総則、物権、債権の3分野であり、特に債権からの出題が多い傾向にあります。
そして、出題の特徴として「事例形式」というポイントがあります。
そのため、条文知識だけでは正解を導くことができず、実務と同様、法律を事例に当てはめる力が必要となります。
憲法の問題は、条文知識のみで正解を導き出せるものも多いですが、民法では、正確に「法解釈」ができるかが重要になります。
行政書士試験 具体的な民法の解答方法
民法の解答方法は、下記の通りです。
①与えられた(出題の)事例を正確に把握②適用すべき条文や判例を思い出す③問題に具体的に当てはめる、という総合力が要求されます。
つまり、単なる民法の知識だけでなく、その知識をどのように問題に当てはめられるかを問われるのです。
民法は上記のような総合的な知識が必要になるので、苦手科目としてる受験生の方も少なくありません。
しかし、民法を苦手科目にしてしまうと合格は難しくなります。
前述の通り、4分の1の配点を占める民法を攻略することは、合格を左右するというご認識が必要となります。
行政書士試験 民法について
民法は、ご自身の実生活にも非常に役立つ法律です。
もし、ご自身が相続や結婚、離婚の問題を抱えた場合にも、その知識を活かすことができます。
民法は、相続や結婚、離婚など、生活に密着した知識を得ることができるため、行政書士試験を抜きにしても、学ぶメリットはとても多い法律です。
また、行政書士合格後に、行政書士の主要業務である相続や結婚、離婚を専門とした行政書士を目指す方にとっては、大きな武器となります。
そのため、民法は行政書士試験対策として重要というだけでなく、ご自身の今後の実生活にとても有益に働くかと思われます。
条文が多い民法に苦手意識がある方も多いかと思われますが、意識的に自ら好きになることの意識を持つことも大事になる科目です。
行政書士試験 民法学習方法
では、民法の具体的な学習方法ですが、条文を確認する際にも、判例を確認する際にも、記述で出題された際に解答できるように、一言一句を意識することが大切です。
例年、民法の記述は2問出題となり、300点中40点を占めるため、多くの時間を費やして学習する必要があります。
大きな配点を有している民法の記述が正解できれば、合格がぐっと近づきます。
具体的な記述対策は、後テーマにてご説明していますので、こちらでは、民法5肢択一式の学習方法をご説明いたします。
民法の5肢択一式は、9問(36点)出題され、大きな比率を占めています。
また、民法は、9問中9問正解を導き出せるほど、基礎の問題が多く出題される傾向があります。
つまり、民法に苦手意識があってもなくても、民法は得点源にしなくてはならない科目と言えます。
民法の5肢択一式対策で最も重要なのは、過去問です。
民法の出題全てが、過去問から出題されると言っても過言ではありません。
つまり、過去問を全て理解しておけば、間違いなく本試験で7問以上の正解を導き出すことができます。
しかし、行政書士試験は難関国家資格です。他の資格のように、全く同じ問題が出題されることはありません。
あくまで、出題論点が同じということです。
そのため、単純に過去問を解いて、答えを暗記しているだけでは、合格できる実力は身につきません。
問題を解く際には、出題者の意向を把握し、社会にとっての「民法のあり方」を理解する必要があります。
つまり、出題の表面上の理解だけでなく、法が施行された理由や法改正の背景を十分に考えることが大切です。
例えば、近年の法改正のひとつに、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等になったというものがあります。
嫡出子(ちゃくしゅつし) は、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子ども。
非嫡出子は、法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子ども。
なぜ、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等になったのでしょうか。
・嫡出子と非嫡出子の相続分が同等なのは逆に不平等なのではないか?
・嫡出子としては、納得いかないのではないか?
・嫡出子と非嫡出子の紛争が増えてしまうのではないか?
など、多くの疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
そのため、あえて、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等にしなくても良いかもしれません。
しかし、現実に、嫡出子と非嫡出子の相続分について同等にすべきであると、民法が改正されたのです。
法律は、国会議員が決めると考えている人も多いですが、実は法律は国民が決めているのです。
国会議員を選定するのは、国民です。
国民は、国会議員を選定することで、国民の意見を国会議員に託しているのです。
つまり、国会議員が嫡出子と非嫡出子の相続分を同等にしよう。と考えたということは、国民の多くもそのように考えているとも捉えられるのです。
もちろん、システム的な話なので、現実には、公約を守らない国会議員や、投票に行かない国民も多いため、シンプルな話ではないことは確かです。
しかし、現実に、嫡出子と非嫡出子の相続分について民法が改正されたことを十分に考える必要があるのです。
行政書士試験では、近年改正された法律や重要な法律から多く出題されます。
そのため、嫡出子と非嫡出子の相続分についての民法改正があったことの知識は受験生の方であれば、誰もが有している知識かと思われます。
しかし、単純に民法改正の知識があるだけでは、行政書士試験対策としては不十分です。
行政書士試験を受験される方は、司法試験や司法書士を目指している方も多く受験します。
そのため、出題者としても、単純に改正民法の知識では、試験問題として成立しないと理解しています。
上記の例で言えば、嫡出子と非嫡出子の相続分の民法変更があったのは、政治的政策なのか、社会的メリットなのか、それとも、子供を保護する意味合いが強いのかなど、深く考える必要があります。
ただし、答えを導き出すことは不要です。
法律は、あくまで法律であり、どのような意味合いで規定されたのかは、厳密に言えば答えがないとも考えられます。
法律は様々な捉え方ができますし、法律学者によって見解が異なります。
つまり、行政書士試験のみを考えると、嫡出子と非嫡出子の相続分がどのような意味で改正されたかの答えまでは求める必要はないのです。
重要なのは、法が成立した答えを考えるのではなく、どのような見解ができるのかという、ご自身なりの考えをまとめることです。
その考えが正解か不正解かは、問う必要はありません。
そもそも、法律に正解や不正解はありません。
法律が規定されれば正解で、改正されれば不正解なのでしょうか。
もちろん、そうではないかと思われます。
法律は改正されるのが当然ですし、そうあるべきです。
法律は時代とともに変わるものであり、絶対的存在ではないのです。
つまり、行政書士試験の民法5肢択一式の問題の正解を導き出すのに必要なことは、「今」の考えに合わせることです。
嫡出子と非嫡出子の相続分の民法改正が30年前だと、国民の見解は異なるでしょう。
逆に30年後でも同じです。
なぜ、「今」改正されたのかを考えることが大切なのです。行政書士試験の民法5肢択一式の問題では、そういった、法解釈のバランス感覚がとても重要になります。
単純な暗記では、行政書士試験の合格は難しいです。
労力は必要ですが、常に「どのような背景でこの法律が「今」存在するのか?」を考える必要があります。
このように考えることで、知識が明確になりますし、頭にも入りやすくなります。
行政書士試験本番では、各予備校が予想問題としている問題が出題されることは稀です。
1問や2問程度は、バッチリ的中ということも考えられますが、基本的には、試験が開始されたら、すべて初見の問題になります。
しかし、前述の通り、行政書士試験の民法5肢択一式問われている論点自体は、繰り返し出題されています。
そのため、表面の問題や答えだけを暗記するのではなく、「出題者はどのような知識を求めているのか」を繰り返し考える必要があるのです。
クレアール | 「特徴」 クレアールは、教材のボリュームに比べて割安の費用で受講できます。また、「合格返金制度」「受験料負担制度」「合格お祝い金」「学費ローン無金利」の各種割引制度が充実しており、上記の割引制度を活用することで(1年目で合格)、教材の負担費用をほぼ0円に近づけることが可能です。 「主な受講ツール」 web(オンライン) 「費用」 30,000円台〜 |
フォーサイト | 「特徴」 クレアールと並んで、費用を抑えて学習できる教材です。フォーサイト最大の特徴は、テキストがフルカラーであることや行政書士試験を目指す心構え、当日の持ち物表、マークシート用筆記用具など、初学者に優しいツールが多く用意されている点にあります。法初学者の方であれば、最もお勧めの教材です。 「主な受講ツール」 CD・DVD 「費用」 30,000円台〜 |
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通勤講座 | 「特徴」 通勤講座は、その名の通り通勤時間を活用して、行政書士試験合格を目指す教材です。通勤時間での学習をメインにカリキュラムが組まれているため、テキストや講義はすべてオンライン上で共有され、紙媒体の教材はありません。斬新な教材として、これまで「週末起業家大賞」や「ベストベンチャー100」にも選ばれ、効率的な学習を目指す方に人気の教材です。 「主な受講ツール」 web(オンライン・テキストも) 「費用」 30,000円台〜 |
東京法経学院 | 「特徴」 1961年に設立された東京法経学院は、通信だけでなく通学プランもあり、歴史と安心を感じられる企業です。また、唯一受験六法を発行できる資格企業でもあり、法改正や判例等、最新の情報をキャッチできることが最大の魅力です。行政書士試験は、一般知識を含め、最新知識を求められることが多いため、東京法経学院を受講することで強力な後ろ盾を得ることができます。 「主な受講ツール」 通学・DVD・web(オンライン) 「費用」 40,000円台〜 |
資格スクエア | 「特徴」 資格スクエアは、講義を聞きながらパソコンでテキストに直接書き込みを行うことができ、わからないことがあればすぐに質問することができます。そのため、インプットとアウトプットを同時に並行して行うことが可能であり、また、問題集では脳科学に基づいたアルゴリズムに基づいた出題を行うなど、他の教材とは一線を画くカリキュラムを提供しています。 「主な受講ツール」 web(オンライン) 「費用」 60,000円台〜 |
伊藤塾 | 「特徴」 伊藤塾は、業界では有名な伊藤真先生(東京大学法学部・弁護士)が設立された企業です。教材費は決して安くありませんが、司法試験、司法書士、行政書士等のメインの法律資格のみに絞り、教材を提供することにより、高いクオリティを維持しています。伊藤真先生は、「人は実現不可能な夢を思い描くことはない。」という言葉をモットーに、法律資格取得支援業界を牽引しています。 「主な受講ツール」 通学・web(オンライン) 「費用」 180,000円台〜 |